おもな新機能

リアルタイムOpenGLシーンプレビュー

OpenGLが改良され、スポットライト、ポイントライト、無限光ライト、IBL(イメージベースライト)、ソフトシャドウの正確なリアルタイムプレビューが可能になりました。アンビエントオクルージョン、法線マップ、および面反転ポリゴンも画面上で確認できます。ライトの特性コントロールでは、プレビューに使用するライトを選択して、その累積輝度でプレビューすることが可能です。また、MIPマップのサポートにより、大きなテクスチャをプレビューする際のパフォーマンスが向上しました。今回のOpenGL ハードウェアの改善により、テクスチャのプレビューが効率化され、画面上のライト、影、色の表示の信頼性が向上し、インタラクティブなシーン作成をよりスマートに行えるようになりました。

サブサーフェイススキャッタリング

肌、ろう、大理石は、光の照射を受けて半透明になるマテリアルのほんの一例です。作品の出来ばえを大きく左右するこのような繊細な効果をPoserで再現するために、簡単に構成できるサブサーフェイススキャッタリングマテリアルノードのセットが新たに組み込まれました。この新しいノードは、基本の散乱、サブサーフェイススキン、そして高速散乱で構成されます。散乱ノードには、スキン、大理石、ミルク、果物、野菜の最適化されたプリセットが多数用意されています。新しいサブサーフェイスマテリアルを使用してレンダリングすると、半透明のマテリアルを含むシーンに命が吹き込まれます。

レンダリングパフォーマンスの改善

PoserのFireFlyレンダリングエンジンは進化を続けます。反射、透明度、被写界深度およびモーションブラーの品質など数々の改善が実装され、これまでより目に見えて滑らかなレンダリング結果を、レンダリング時間に大幅な影響を与えることなく実現しました。とくに注力したのが、間接照明(IDL)です。アンビエントオクルージョン(AO)に対応し、透明度を伴うレンダリングの速度も向上しています。また、最終レンダリングでは非表示でありながら、シーンに光を与える発光オブジェクトも作成可能になりました。サブサーフェイススキャッタリングノードに加え、生物発光などの効果に対応するカスタム散乱ノードも新たに搭載されました。

頂点ウェイトマップのサポート

3ds MaxやMayaなど、ハイエンドのプロフェッショナル3Dアプリケーションが確立した標準的な頂点ウェイトマップ・リグを、PoserとPoser Proの両方でサポートしました。Poserユーザーは、これまでにないオープンな頂点ウェイトマップを利用できます。ウェイトマップ・リグは、いくつものメリットを実現します。例えば、一つ一つの屈伸や膨らみに対して頂点コントロールを行うことで、頂点を使用した曲げによる折れや膨らみをより滑らかにすることができます。ウェイトマップは、任意の関節の屈伸や、軸回転、および、拡大縮小チャンネルに追加することが可能で、これを使用して膨らみを制御できます。また、Poserでは、ハイブリッドジョイント・リグ(従来の球状/カプセル状影響範囲をウェイトマップと組み合わせた機能)をサポートすることで、ウェイトマップ・リグの水準をさらに高めました。これにはシングルメッシュジオメトリか、従来の方法でグループ化したジオメトリのいずれかを使用します。この機能により、現在の関節の範囲を超えた任意の数のボディパーツに、ウェイトマップまたは影響範囲の効果を与えることができます。オープンで資料が豊富にあり、編集が容易なPoser PZ3ファイルフォーマットを拡張したことで、ウェイトマップを使用しているサードパーティ製フィギュアをPoserで利用できるようになったため、より自由で、より創造的なPoserフィギュアの作成が可能になりました。

Poser 9はウェイトマップの作成には対応していません。

オブジェクトのグループ化

Poserのシーンで、複数のオブジェクトを対象にして一括で移動、拡大縮小、または非表示に設定する方法があったらいいと思いませんか?フィギュアや小道具からライトまで、シーンエレメントをいくつでもグルーピングオブジェクトに追加できるようになりました。追加したオブジェクトに対して、移動、回転、拡大縮小、アニメーション化、表示/非表示の切り替えなど、さまざまな操作を一括で行えます。複数のグルーピングオブジェクトを作成し、その中にシーンのさまざまなエリアや関連する小道具、フィギュアなどを保持することができます。選択したシーンエレメントをグルーピングオブジェクトに追加する操作は、強力な新機能のコンテキストメニューコントロールを使用すれば簡単です。この重要な新機能によってシーンの管理方法は大きく変わり、シーン内に存在するオブジェクトのグループ全体を効率よく制御できるようになります。

コンテキストメニューの拡張

大きな変革をもたらす要因は、意外にシンプルであったりするものです。Poserの拡張されたコンテキストメニューは、画面操作の効率とシーン作成を飛躍的に改善します。これにより、Poserでのワークフローが劇的に変わります。フィギュア、エレメント、オブジェクト、ライト、カメラ、そして背景という6つのユニークなコンテキストメニューを使って、便利なメニュー操作(選択、IKのオン/オフ切り替え、ポーズの対称コピー、ライトの方向設定、衣服の着用、親子関係の設定、ライトの種類の変更、グルーピングオブジェクトにおけるすべてのアイテムの表示/非表示など)へ、素早くアクセスできるようになりました。この新しいコンテキストメニューを使い始めると、楽しくてPoserの操作をもう一度ひととおりやってみたくなるはずです。

ライブラリ内のフルシーンカテゴリ

これまでは、過去に作成したPoserシーンを環境設定、ライト、カメラ、小道具、依存性、さらにはレンダリング設定ごと再利用したければ、それらを構築し、保存した上で、そのファイルを見つけてインポートする必要がありました。ライブラリに新しく追加されたシーンカテゴリを使用すれば、ライト、カメラ、すべての小道具やフィギュアの配置状態と、すべての依存性設定を含めたPoserシーン全体を、ライブラリに追加できます。その後は、ライブラリから直接ドラッグし、Poser作業スペースにドロップするだけで、そのシーンが再現されます。この新機能を使用すれば、コンテンツ制作者は完全に構築済みのシーンを依存性と最適なレンダリング設定付きで納品することができ、受け取る側も手間を軽減できます。

複数選択でのドラッグ&ドロップのサポート

ライブラリがドラッグ&ドロップに対応して以来、マテリアルの適用、衣服の着用、ポーズをフィギュア上にドロップする操作は以前に比べてずっと簡単になりました。今回の新しい複数選択機能を使うと、衣服を何点か選択し、それらをフィギュアにドラッグ&ドロップして自動着用させるまでの操作を、1つのステップで行うことができます。「お気に入り」内の複数のカテゴリのアイテムを操作する場合などは、さらに便利です。ヘアスタイル、衣服アイテム、ポーズをまとめて選択し、クリックしてターゲットのフィギュアにドラッグしてください。あとは、Poserが自動的にそれらのアイテムを適用してくれます。たいへん簡単です!

モーフパテツールのタブレットサポート

Wacomの感圧式タブレットをお持ちの方に朗報です。モーフパテツールにWacomタブレットのサポートが実装され、モーフ作成時のより緻密な制御が可能になりました。どのブラシサイズを設定しても、筆圧でブラシの強さに変化を持たせることができます。強力なモーフパテツールが、タブレットのサポートによってさらに便利になりました。

コンストレイントチャンネルとコンストレイントオブジェクト

ボールを投げたりキャッチしたりする動きをアニメーション化する方法を模索してきたアニメーターのために、コンストレイントチャンネルとコンストレイントオブジェクトを導入しました。基本的に、コンストレイントオブジェクトはオブジェクトのためのアニメーション化可能なハンドルです。例えば投球動作などで手を振り上げる際に、フィギュアの手と、コンストレイントオブジェクトとの間にペアレント関係を設定し、その後オブジェクトが手をはなれ、放り投げられたように空中を飛んでいくようにすることができます。コンストレイント機能は使い方が簡単で、さまざまな卓越したアニメーション効果を可能にします。

発光オブジェクト

間接照明(IDL)を導入する際、Poserのレンダリング設定方法を変更しました。IDLを有効にして、オブジェクトが光を放つよう高い環境値を設定して少々調整を行えば、多彩な照明効果を作り出すことができることに、Poserユーザーはすぐに気が付きました。さらに今回、オブジェクトをレンダリング対象から外しても、光を放つように設定できます。ライトドーム、環境ドーム、大きなエリアライトなどを作成して環境光を照射し、ライト自体はシーン内でレンダリングされないようにすることが可能です。この機能を新しいPoserシーンライブラリ・カテゴリと組み合わせると、全体に照射されたIDL環境を作成するのにたいへん便利です。

選択オブジェクトを中心に

Poserのオリジナルのカメラコントロールでは、複雑なシーンになると、現在作業中のエリアにカメラの照準を合わせ続けることが難しい場合があります。これを解決するために今回導入されたのが、選択オブジェクトの中央表示機能です。ボタンをクリックするだけで、現在のカメラが選択したオブジェクトにズームインし、作業中のちょうどその部分をより近くに表示できます。この機能を使用すると、複雑なシーンのカメラコントロールが容易になり、シーンの作り込みに要する時間を節約することができます。

領域選択モード

選択オブジェクトの中央表示機能に関連して、新しく領域選択モードも搭載されました。領域選択モードをオンに切り替えると、現在選択されているオブジェクトの中心点を軸に、現在のカメラが回転します。このモードにより、カメラコントロールのトラックボールを使って、選択したエレメントをあらゆる方向から簡単に確認できるようになりました。

ダイナミックヘアーの高速化

Poserの開発チームは、ダイナミックヘアーのスピードアップを実現するために研究を重ねてきました。その結果、ダイナミックヘアーにおける衝突計算が高速化し、そのレンダリング速度も向上しました。

レンダリング前のテクスチャキャッシュ

レンダリング前のテクスチャ処理を高速化してほしい、というご要望にお応えして、レンダリング開始ボタンを押した直後の待ち時間を軽減できる2つの方法を、新たに導入しました。これは、最初のレンダリングを行う前にシステムのアイドル時間にバックグラウンドですべてのシーンテクスチャをあらかじめロードし、その処理されたテクスチャを、必要に応じてセッション間でキャッシュするというものです。

Python 2.7のサポート

Poserと同様、Pythonもまた進化を続けます。Python 2.7への対応により、このスクリプト言語の改善点を最大限に活用できるようになりました。

Mac OS X 10.7 Lionのサポート

Poser Pro 2012とPoser 9は完全にCocoaベースで開発され、Appleの最新のOS X 10.7 Lionに対応しています。